言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


その日の夜。夕飯を済ませた後、共有スペースで皆とお喋りをしながらトランプや花札で遊んでいると、今日は遅番だったはずの禰宜頭がひょっこりと顔を出した。


「ああ、ここにいたか巫寿さん。探したぞ」


どうやら私に用があるらしい。

手に持っていたトランプを机の上に置いて禰宜頭の元へ歩み寄る。


「どうかしましたか?」

「ああ。権宮司がお呼びだ」

「権宮司……ですか?」


瞬時に何か怒られるようなことをしただろうかと記憶を辿ってみたものの心当たりは何一つない。

だとしたらこんな時間になんの話だろうか?


「もう既に待っていらっしゃるから、早く行きなさい。服もそのままでいい」

「わかり、ました。権宮司はどちらに?」


少し声のトーンを落とした禰宜頭が答える。

その示された場所に私は目を見開いた。