なるほど、とひとつ頷いた。大体のことは私が把握していることと同じだったし、ここへ呼ばれた理由も頷ける。
「ここに呼ばれた理由は分かりました。でもさっき禄輪さんから"暫く帰れない"って言われたんですけど、それは……?」
それに薫先生も「こんな所に連れてこられちゃそうはいかないか」って言ってたし、それはどういうことなんだろう?
薫先生はいつにも増して真剣な顔で身を乗り出した。
「実はこの冬休みが始まってからずっと、巫寿にはかむくらの神職を護衛につけていた」
え、と目を丸くする。全く心当たりがない。
息を吐いた恵衣くんは呆れた顔で私を見下ろした。
「お前、能天気に過ごしすぎなんだよ。二日に一回は命を狙われてたんだぞ」
「────え?」
思わず自分の耳を疑った。
「誰が……?」
「お前がだよ」
「命を……?」
「だからそう言ってんだろ」
しばらく沈黙が流れて「ええ!?」と私の上擦った声が部屋に響く。
ここ数日を振り返ってみたけれど思い当たる節はひとつもなく、命を狙われているような殺気を感じ取ったことなんて一度もなかった。



