言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


同じ霊が横並びに目撃される……一体どういうこと?


「聖仁さん。これ見てください」


パソコンとにらめっこを続けていた恵衣くんが、ふいに立ち上がって私たちの輪に入ってきた。聖仁さんの隣に入ってテーブルの上にパソコンを置く。


「こっちはあの町近辺で絞ってましたけど、霊の特徴で絞ってみたら全国各地で目撃情報がありました。それで何箇所かピックアップして印をつけてみたんですけど────」


私たちはぞろぞろとパソコンの周りに集まって小さな画面を覗き込む。恵衣くんが開いたのはシンプルな地図のアプリだった。


「あの町以外にも目撃情報が集中している場所があって、全部に印をつけると」


カチカチ、と慣れた様子でマウスをクリックし地図アプリの上に印を打ち込んでいく。四箇所ほど打ち込んで、私たちが見えやすいように画面をずらした。

赤くマークされたその4点を見つめ、「あっ」と声を上げる。


「この通り四角形が描けます」


集約された目撃情報はほぼ正方形の頂点上に位置していた。

んん?と皆がより一層難しいをする。

直線の次は四角、一体どういうこと?


「まだ確認できていませんが、他の場所でも目撃情報が集まった地域があるみたいです」

「なるほど。なんだか厄介なことになり始めたね」


顎を擦りながら首を捻った聖仁さんは、「ありがとう」と恵衣くんの背中を叩きもう一度パソコンを覗き込んだ。

私も拡大地図を見下ろす。

直線上に順に並んだ目撃情報。これじゃあまるで、少しずつ移動しているみたいだ。