週明け月曜日の奉仕は、先週対応した高架下の自縛霊についての話し合いから始まった。会議室で報告書を囲む私たちは「うーん」と首をかしげ黙り込む。
というのも、自縛霊を祓除したところまでは良かったのだけれど、片付いていない問題がまだあったからだ。
「絶対ないとは思いつつ、高架下にいるのは陽太くんの霊だと思ったんだよねぇ俺」
私達の言葉を代弁するようにそう呟いた聖仁さん。みんなは深く頷く。
そもそも私たちがあの高架下に行ったのは、陽太くんの元同級生である祥吾先生の"陽太くんを見たかもしれない"という証言を確かめるためだった。
私も、陽太くんの生霊や残留思念が見せた幻影なんじゃないかなんて考えていたので拍子抜けだった。
「そもそも本当に陽太くんだったんでしょうか。証人はかなり過去に後悔があるように見受けられました。思い込みが彼にそう映した可能性も否定できませんよね」
恵衣くんの意見に同意する。
むしろそれが一番有力説な気がする。
「恵衣の言う通りだよ。ただ情報があった以上は白黒ハッキリさせる必要があるからね。今日からはあの街を中心に、少年の霊の情報がないか洗いだそうか」
露骨に嫌な顔をした亀世さんが、資料をテーブルの上にばさりと投げ捨てる。
「勘弁しろよ。少年の幽霊なんてこの世にどんだけいると思ってんだ」
亀世さんはパイプ椅子に深く座り込み、肺の空気を全て吐き出し天井を見上げる。



