本庁が慌てて探しに来たということは、鈴が盗まれたことは本庁へ伝わっている。滅びの力がある三種の神器のひとつを盗まれたとなれば、相当な騒ぎになっていたはずだ。
なんとなく当時の状況が見えてきた。
斎守剣が犯人である志ようさんたちの顔を見ているということは、鈴を守ろうと交戦したんだろう。しかし鈴は盗まれた。当然斎守剣は犯人の特徴を役員たちに話しているだろうし、役人たちはすぐに犯人が審神者だと気付いているはずだ。けれど志ようさんから鈴の行方を聞き出すよりも先に空亡討伐で亡くなってしまい鈴は行方不明のままになった。きっと志ようさんな亡くなる直前、どこかに鈴を隠したんだ。
そして今うずめの社は管理不行き届きで本庁からの信頼を失いつつある。
……もしかして、跡継ぎ云々で慌ててお兄ちゃんを呼び寄せたのもそれが関係しているからだったりして。
「おい、泉寿の娘。急に黙り込んでどうしたのじゃ」
「あ……いえ」
「とにかくその審神者はお主にも関わりのあるものなのだろう! 代わりにお主が探し出してここまで持ってこい!」
ふんすと鼻を鳴らした斎守剣にええ!と声を上げる。
たしかにお母さんの親友で私の名付け親でもあるし、関わりがあるかないかと聞かれれば「ある」方だけど。
どこに隠したかも分からない神具を見つけ出すなんて無理難題すぎる。



