「とにかく中入れろ。禄輪禰宜からこの家のことを説明するよう任された」
「ついでに現状も話せるところまで話しとこうか」
なるほど、二人は禄輪さんに頼まれて私とところにきてくれたわけか。
私としても「説明は着いてから」と言われたきりで何がなんやらな状態なので、色々聞きたいことがある。
どうぞと扉を押し開ける。邪魔するぞ、と断りを入れた恵衣くんが中へ入ってきた。
「俺は教え子は対象外だからいいとして……恵衣みたいな若者をほいほい部屋に入れるのは感心しないなぁ」
「はァ!?」
「あはは」
眉を釣り上げた恵衣くんが鬼の形相で薫先生を睨む。
恵衣くんみたいな若者って……むしろ他の若者に比べて恵衣くんは礼儀正しいし品行方正で優秀な若者の代表例くらいだと思うけれど。
恵衣はむっつりだからなぁ。俺はむっつりじゃない!
そんなやり取りをする二人に「仲がいいなぁ」と目尻を下げた。



