「同じ魂だと思います。魂の和魂の部分が出てしまっているだけで、魂は変質してないんじゃないでしょうか」


ふんふんと楽しそうに頷いた薫先生。


「泰紀はどう思う?」

「俺も巫寿と同意見かなぁ。さっきのネーチャンだって、生前の恨みで自縛霊になったんだろ? 生きてる時の感情をそのまま持ってるってことは、同じ魂なんじゃね?」


だよね、と隣の泰紀くんと目を合わせる。

答えを知っているのか恵衣くんは呆れたように溜息をつき、先輩ふたりは温かい目で私たちを見守っている。


「ここが難しいところなんだけど、答えは"ほぼ別物"なんだよね」


ほぼ別物?と繰り返す。

すると薫先生は人差し指で空中に丸い丸を描いた。


「ここにアンパンが一つあります」


アンパン?と泰紀くんが首を傾げる。丸はアンパンの形らしい。


「俺は中のあんこだけ先にくり抜いて食べました。後からやってきた泰紀にそれを渡しました。泰紀はそれをなんだと思う?」

「はぁ? 後から来たってことは、元はアンパンだって知らねぇんだろ? じゃあただのパンにしか思わねぇよ。まぁ食い進めたら多少はあんこの味感じるだろうから、アンパンって気付くかもだけどよ」


泰紀くんの答えに満足したのか「まさにそれ!」と指を鳴らす。

今のアンパンの話と魂の話がどう関連するのかいまいちピンと来ない。