呪いの被害も呪者の所在がわかっていれば防ぎようがあるけれど、そもそも陽太くんは行方不明で、祥吾先生を呪おうとしているのかも定かではない。

いまの私たちにできることは、聞いた情報をもとに陽太くんの捜索を続けるこくらいだ。


「……もう遅いしお暇しようか」


項垂れる祥吾先生を一瞥し、聖仁さんは私たちを見回した。私たちは戸惑い気味にひとつ頷き立ち上がる。


「最後にひとつ教えてください。さっき言ってた、"嫌な感じがする場所"ってどこだか覚えてますか」


恵衣くんの問いかけにピクリと指先が震えて、祥吾先生はいっそう首を深く折った。


「河川敷の、高架下……。あの三人が、辰巳をよく呼び出していた場所だ」


私達も祥吾先生も、それ以上は何も話さなかった。

お邪魔しました、とだけ声をかけて祥吾先生の部屋を後にする。先生は最後まで顔をあげず、力なく項垂れるだけだった。