かむくらの屯所。
詳しい話は着いてからと言われていたけれど、その名前から何となくどのような場所なのかは想像がついていた。
屯所というのは確か、兵士たちが駐在する場所という意味だったはず。そして「かむくらの」とつけば、ひとつの答えにおのずと辿り着く。
かむくらの神職。先の戦い・空亡戦において仲間を守るため自ら立ち上がった神職たちの義勇軍をそう呼ぶ。
きっとこの場所は────。
「お、やっと来たか禄輪」
「遅かったな。何かあったのか?」
「禄輪のおっさんももう結構な歳だから、そんなに急かしてやらないでよ」
前に禄輪さんから見せて貰ったかむくらの神職たちの集合写真で見た顔に名残がある。どの人たちも少し歳を重ねた顔つきだけれど、意思の強い目と正義感に満ちた面持ちはあの頃と何一つ変わっていなかった。
「ここが"かむくらの屯所"────むくらの神職たちの活動拠点だ」
どこか懐かしい匂いがする。幼い頃に嗅いだことのある匂いだ。
ああそうか、両親もかむくらの神職だった。
お父さんとお母さんもここにいたんだ。



