神修の先生にも厳しい人はいるけれど、やはり神職なだけあってこんなふうに嫌悪を露骨に滲み出して攻撃的な態度で接してくる人はいない。
私としては「こういう先生、学年にひとりはいたよなぁ」という程度だけれど、皆はきっとびっくりしたはずだ。
「……そんなにお時間は取らせませんので、ご協力頂けますと幸いです」
チラッと見えた聖仁さんの横顔が引き攣っている。
さすがの聖仁さんも初対面で開口一番に自分たちを馬鹿にする言葉を浴びせられ、かなり頭に来ているようだ。
もちろん泰紀くんもブチ切れ寸前だけれど、隣の恵衣くんが影で手首に筋を浮かび上がらせながらがっちり押さえ込んでいる。
はぁ、と露骨に顔を顰めてソファーに深く腰かけた校長先生は「それで何が聞きたいんだね」と腕を組む。
「行方不明になった当日の陽太くんの様子を、覚えている限りで良いので教えてください」
「警察に散々話したがね。当時の書類やら記録やらがが残っているだろう」
「警察と僕たちは違う団体なので。それに山火事の影響で捜査が難航しており、あまり記録が残っていないんです」
敵意を孕んだ深いため息と、 ビジネススマイルがぶつかり合い、バチバチと青い火花をらしている。
めちゃくちゃ怖いんですが。



