禄輪さんは迷わず滝に近づいていく。滝も結界の一部なのだろうけれど、轟音と迫力にどうしても気圧されてしまう。


「ほら、巫寿」


私が怖がっているのに気が付いたのか禄輪さんが手を差し出した。直ぐにギュッと掴んでにべったり引っ付けば、禄輪さんは愉快そうに笑って私の肩を抱き寄せる。

行くぞと耳元で囁き、歩き出す。目の前に迫る白い水飛沫に固く目を瞑った。