まだ再開しないなら私は薬草を取りに行く、とだけを言い残し草むらの向こうへ消えていった妹を大慌てで捕まえに行った鶴吉さん。
自由気ままに過ごす先輩たちを一瞥し、私たち二年は丸くなって座る。
「そっちの調査はどうなんだ? てかそもそもお前らって空亡の何について調べてんだっけ?」
「俺らのチームは空亡がどうやって出現したのかについて調べてるよ。と言っても、この十数年で分かったことはこの山で空亡が突如として出現したってだけなんだけどね」
嘉正くんは苦笑いで肩を竦めた。体良く厄介払いされた感じだよね、と来光くんが膝で頬杖をつき唇を突きだす。
どうやらこっちのチームも私たちと同じく除け者にされたクチらしい。
私なりに空亡についてこれまで色々と調べてきたけれど、確かに書かれていることはどの書物もほぼ同じで、違いはあれども数字がほんの僅かにずれている程度だ。
空亡戦において神々廻芽が空亡側についたことは極秘情報として扱われておりきつく箝口令が敷かれているし、空亡の情報も上層部しか知らない事実があるのは間違いないだろう。
それにしても私たちは知らないことが多すぎる。
「空亡発生時はどういう状況だったんだ」
珍しく恵衣くんが会話に混ざってきた。
それが意外だったので、来光くんが疑うような表情で答える。



