「おい見ろよ巫寿」


大きな石の上に腰を下ろし、カイロを頬に当てて休憩していると亀世さんに声を掛けられた。

陽太くん行方不明事件を調べるため、空亡出現の山へ調査へ来ていた私たち。同じく空亡の調査できていた瑞祥さんチームと合流し、各々に意見を交わしつつ休憩がてら木陰で休んでいた。

にやにやと悪い顔で笑ってスマホを私の顔の前に差し出した亀世さんと、その背中で「バカッ、やめろ!」と顔を赤くしあばれる瑞祥さん。

不思議に思いながらもスマホを受け取る。カバーからして瑞祥さんの私物だ。

特段変なところはなさそうだけれど、とスマホをひっくり返せば画面が明るくなってロック画面が映る。

画面に使用されている写真に思わず「わっ」と声を上げた。


瑞祥さんと聖仁さんが二人で写った写真だ。真っ赤な紅葉の前で瑞祥さんの腰に手を回した聖仁さんが満面の笑みでバックハグしている。


「こいつら同じロック画面なんだと。バカップルめ」

「見るなよォ!」

「だったらわざわざロック画面に設定するなよ」


こればっかりは亀世さんが正しいけれど、ちょっと瑞祥さんが可哀想なので「まぁまぁ」と宥めながらスマホは返してあげる。

恋愛不慣れな瑞祥さんが自らロック画面の設定を変えるとは思えないので、大方聖仁さんにお願いされ絆されたのだろう。