肩で息をしながら私を睨む恵衣くん。
ぽかんと口を開けて見つめる。
「つまり一緒に鬼脈を回ってくれるってこと……?」
「勘違いすんな。俺はあくまでお前の監視監督役だ。必要な場所だけ回ったらさっさと神修に向かうからな」
それだけ言うと手を離した恵衣くんはずんずんと大股で廊下を歩いていく。少し歩いてふと立ちどまり「さっさと動け。行くのやめるぞ」とチラリとこちらを睨んだ。
ハッと我に返って慌てて走る。
「あ、ありがとう! 凄く嬉しい。恵衣くんも私のことは気にせず自分の買い物してね」
「お前のこと気にしなかったら俺が付き添う意味ないだろうが。俺は遊びに行くんじゃないんだよ」
そんな仕事みたいに言わなくても。
とにかく恵衣くんのお陰で安心して遊ぶことができるわけだ。せっかくならしっかり楽しまないと。
二人揃って外に出る。
社頭にいた神修さまたちに「お、デートか?」と茶化された恵衣くんが烈火のごとく怒り狂ったのは言うまでもない。



