どれも間違いなく正論なのだけれど、息を吐くように「バカ」と言われれば私だって腹が立つ。
ムッとした顔で恵衣くんを睨み付けるも、それ以上の迫力で睨み返されてあえなく撃沈する。
「……確かに私が軽率でした」
「ああ軽率だ」
だからってそんな言い方しなくても、と心の中で零す。
久しぶりに鬼脈に入って買い物ができると思っていたから、後輩の盛福ちゃんや玉珠ちゃんにも「何か買ってきて欲しいものある?」と張り切って聞いてしまった。
二人とも大喜びで買い物リストを送ってくれたので、後で謝罪のメッセージを入れておかないと。
はぁ、と小さく溜息をつく。
残念だけど仕方がない。それが自分を守るためで、周りの人達に迷惑をかけないためなのだから。
くるりと背を向けて部屋へ戻ろうと歩き出したその時、左腕をガシッと掴まれて歩みを止める。
振り返れば言い表しがたい複雑そうな顔を浮かべた恵衣くんが、掴んだ腕をじっと見つめて眉根を寄せた。
「……やる」
あまりにも小さな声だったので、上手く聞き取れなかった。
うん?と聞き返すと顔を真っ赤にした恵衣くんが目を釣りあげて私を見た。
「だから、護衛してやるつってんだよ!」
「え……どういうこと?」
「お前さっきまでの会話は寝てたのか!? どうしても鬼脈に行きたいんだろ! 護衛として付き添ってやるって言ってんだよ!」



