多くの社の神職は日勤と夜勤があって交代制で奉仕しているためほとんどがシフト制だ。けれど私たちの奉仕時間は学校側から平日の五日間だけと決まっているため、土日と祝日があればそこも休みになる。
神修にいても門限さえ守れば土日は外に出かけても良いことにはなっているけれど、学校は山の中にあり麓に降りるまでにとんでもなく時間がかかることから、多くの学生は長期休暇で帰省するまでの時間を寮内で過ごしている。
だから神社実習期間は気軽に外出できて、社によっては門限もそこまで煩くならないので、学生にとっては第二の長期休暇と言っても過言ではない。
土曜日の今日、泰紀くんは朝ごはんを食べてすぐに「道場破りしてくらぁ!」と防具と稽古槍を担いで意気揚々と飛び出して行った。
槍術部に所属する泰紀くんは、実習期間中は部活動に参加できないのでずっとうずうずしていたらしい。
聖仁さんも、瑞祥さんとのデートのために朝早くに起きてでかけていった。二日前に「瑞祥に会いたくて手が震える」と言い出し、昨日は「瑞祥の幻覚が見えるんだよ」と言っていたので、早く禁断症状を治してきてくれると助かる。ちなみに先週も鬼脈でデートしていたから、会えなかった期間は一週間程度しか空いていなかったはずなんだけれど。
亀世さんは今日一日部屋にこもって黄泉がえりの薬の研究を進めるらしい。私と亀世さんは同部屋なのだけれど、帰ってきた時にちゃんと部屋があるかどうか不安で仕方がない。せめて私物だけは燃えてないといいのだけれど。
私はというと、先代の審神者である誉さんと授力の稽古があるため本庁へ行かなければならない。
本庁の人が迎門の面を送ってくれたので、少し早めに出かけて鬼脈で買い物をしてお昼ご飯を食べる予定だ。



