水をかけたお詫びだと清志さんは沢山の和菓子を持たせてくれた。気をつけて帰れよと店前まで見送ってくれて、私たちは深々と頭を下げて店を去る。

駅へ向かいながら、胸の前で抱えていた風呂敷を見下ろした。


「清志さんと薫先生、どういう関係なんだろうね? 知り合いなのかな」

「さぁな。わくたかむの社が過去に何かやらかしたのは間違いなさそうだが」


薫先生の実家で裏切り者神々廻芽の実家、宮司は行方不明で社内はふたつの派閥で割れている。

あの社の中で一体何が起きたのだろうか。


ブブ、とスマホが震えて画面を立ち上げる。聖仁さんからだ。


「聖仁さんが『悪いけどなるべく早く帰ってきて』だって。社の方、忙しすぎて修羅場になってるみたい」

「急ぐぞ」


私たちは急ぎ足で駅の改札をくぐった。