それ以上深く聞いていいのか分からず、また私たちは顔を見合せて口を閉ざす。
娘の幸さんはわくたかむの社で何か問題があって、それを知った清志さんは神職が現れるだけで水をかけて追い返すほどの恨みを抱いた。
一体この人達の間に何があったんだろうか。
「とにかく水をかけたことは謝る。服が乾くまでのんびりしてってくれ。あとその風呂敷も俺に渡せって言われたんだろうが、持って帰ってくれ。そんなもん要らねぇ」
隣に寄せていた風呂敷を一瞥した清志さんは嫌なものでも見たような顔をすると、「ドライヤー貸してやるから服乾かせ」と居間を出ていった。
受け取りを拒否されるなんて、結局風呂敷の中身はなんだったんだろうか。
清志さんがまだ戻ってこないことを確認し、恵衣くんに擦り寄る。
「……なんか凄く訳アリっぽくない?」
「またお前はそうやって首を突っ込もうとする。バカなのか」
「で、でも恵衣くんだって気になるでしょ?」
目を逸らした恵衣くんは「……まぁ」と零す。
やっぱり恵衣くんだって何かを感じとって気になっているんじゃん。
「とにかく頼まれた用件は済ませた。さっさと乾かして帰るぞ。あれこれ余計なこと考えず自分のことに集中しろ」
「そう、だね」
恵衣くんの言う通りだ。明日は節分祭だし任務のこともある。あれやこれやと首を突っ込む前にまずは目の前のことを終わらせないと。



