全国各地に点在するお社では、日々様々な祭りや神事が執り行われている。
中でも大晦日の"年越の祓え"や社の創建日を祝う"開門祭"は全神職が総出で準備するビッグイベントでもある。その二大イベントに次いで大きな祭りが、二月上旬にある節分に合わせて厄祓いの祈祷を行う節分祭だ。
「禰宜頭! 福豆詰めが間に合ってません!」
「巫女頭〜ッ! 巫女バイトの大学生、飛びました! 助勤の人足りてません!」
「おい鬼の衣装クリーニングに出したよな!?」
「後援会の方いらっしゃいました!」
節分祭を明日に控えた二月の月初。
この日ばかりは朝から全ての任務や神事はストップし、神職一同明日の節分祭に向けて早朝から走り回っていた。
方々から聞こえる悲鳴に戦きながら、私達も右へ左へと走り回る。常に人手不足なこの業界では、子供も学生も関係なくとにかく手が生えていれば駆り出される。
「学生組! 第二陣の昼休憩が始まるから抜けた神職と交代して福豆詰めに入ってくれ! 君らの休憩は第三陣だ!」
「禰宜頭! 鬼の衣装クリーニングまだです!」
「なんだって!? 恵衣と巫寿! 福豆詰めはいいから君ら二人で鬼の衣装を探してクリーニングに持っていけ!」



