お姉さんが袖から何かを取り出す。手のひらに乗せられたそれは鳥の方に切り抜かれた形代だ。
私が飛ばした形代はちゃんとこのゆいもりの社へ辿り着いてみんなを呼んでくれたらしい。
失敗から学んだね、と神職さまが目を弓なりにする。
一年の夏、社の裏にある山の麓で祟りにあった子供を独断で助けたことがあった。その時に「お手柄だったけど、こういう時は大人に頼りなさい」とありがたいお説教を頂戴した。
ちなみにそのお説教はこの神職さま以外にもたくさんの大人たちからゲンコツ付きで頂戴しているので嫌でも身についた対応なのだけれど。
へへ、と曖昧に笑って「そういえば」と振り返る。
「私、この社の神職さま達に知らせるために形代を送ったんですけど……どうして禄輪さんが?」
「用があってこの街に来たから、ついでに顔を出そうとゆいもりの社に向かっていたんだ。そしたらこいつらが社務所から大慌てで出てくるのが見えて、聞けば巫寿が緊急事態だって言うもんだから心臓が縮んだぞ」
なるほど、そういう事だったのか。
でも用事って一体何だろう? 二学期の終わりごろに色んな事があったせいで、禄輪さんは今かなり忙しい状況だったはずだ。
ああ、と禄輪さんはひとつ頷き私を見下ろす。
「巫寿を迎えに来た」
私?と戸惑い気味に自分を指さす。
禄輪さんはもうひとつ難しい顔で頷く。
「一緒に来てくれ────かむくらの屯所へ」



