大きめの石の上に腰を下ろした聖仁さんが、膝の上に瑞祥さんを乗せて腰に腕を回し首元に顔を埋めている。膝の上に乗せてバックハグをしたような状態だ。


「鶴吉うるさい。今日逃したらもうしばらく会えなくなるかもしれないんだよ」

「今度の休みにデートする約束してんだろ?」

「今度の休みって三日後じゃん。無理、耐えられない」


ねこの後頭部でも吸うように瑞祥さんの首元に顔を埋めてスゥハァ深く息を吸う聖仁さん。もう何も言えない。

くすぐってぇよ、と瑞祥さんがころころ笑う。

聖仁さん、瑞祥さんと付き合ってからキャラがちょっと崩壊しかけている気がする。

恵衣くんなんてさっきからずっと絶句している。ショックのあまり明日熱を出さないといいけど。


「私たち、しばらく山捜査の担当になったんだよ。任務先が一緒なら、頻繁に会えそうだな」


ふふ、と嬉しそうに頬を赤らめた瑞祥さん。その愛らしさに聖仁さんが言葉を失っている。

目のやり場に困るのでせめて隠れてやって欲しい。


「同じ任務先なら、何か気づいたこととかあれば共有しようぜ」

「だな。おい鶴吉、グループトーク作れ」

「へぇへぇ亀世さま、仰せのままに」


軽口を叩き合う鶴亀兄妹も、なんだかんだ言って再会を喜んでいるように思えた。

数分と立たず2チーム合同のグループトークができた。皆が最近買ったトークアプリ用のスタンプを試し送りしているうちに、日はゆっくりと西の山に落ちていく。

「頑張ろうな」と互いに励まし合い、私たちは互いに背を向け歩き出した。