「もー、亀世。いい加減にしてよ。心配して探したじゃん」


亀世さんの捜索は十分と経たずして終了した。発見されたのは来た道から少しそれた草むらの中だった。

蹲るようにして座っていたので「もしかして具合でも悪いんじゃ」と心配したけれど、その心配も無駄に終わる。


「後輩もいる前で勝手な行動しないの。薬草なんていつでも集められるでしょ」


呆れたように額に手を置いた聖仁さん。

いま薬草って言った?


「ふざけるな聖仁。野生の山なんて滅多にないんだぞ! おおっ、ここにもこんなお宝が!」


メガネの奥の瞳をぎらりと輝かせた亀世さんはキタキツネばりの狩りジャンプを見せて頭から草むらに突っ込む。


「馬鹿ッ、亀世パンツ見えるだろ!」


太ももまでめくれ上がった亀世さんの袴を慌てて引っ張り整える聖仁さんの手際たるや。

おそらく瑞祥さんでさんざん慣れているのだろう。


「店で買ったら5万する薬草かガキ共にパンツを見られることを選べというなら、私は5万の薬草を取る」

「パンツと薬草を比べない! もう勘弁してよ……恨むぞ鶴吉……」


頭に葉っぱをつけて満足気ににんまり笑う亀世さんの救出に成功した聖仁さんは、疲れ果てたようにその場に蹲り双子の相方である鶴吉さんの名前を恨めしそうに呟いた。