怜衣さんは空亡戦当時専科生だったけれど、神役諸法度上では神職として認められているため、空亡戦へと派遣され命を落とした。
普段滅多に他人を褒めない恵衣くんが、お兄さんのことは優しくて優秀で面倒見のいい人だったと話していた。
余程尊敬していたのだろう。
そう評価するお兄さんに似ていると言うくらいなのだから、きっと同じくらい聖仁さんの背中を追いかけているに違いない。
「二人で、聖仁さんを超えられるように頑張ろうね」
これまた変な顔をした恵衣くん。
私は何一つ変なことを言っていないと思うんだけれど。
「お前が前向きなことを言い出したら、それはそれで妙だな」
たまらずガックリ項垂れる。額を押えながら深く息を吐いた。
「あのさ恵衣くん……今すっごく失礼なこと言ってるって自覚ある?」
「俺は本当のことを言っただけだ」
本当に、なんでこの人はこんな物言いしかできないかな。
恵衣くんのことをよく知らない人が聞いたら間違いなく勘違いされると思うんだけど、分かっているんだろうか。
「恵衣くんはもうちょっと人の気持ちを考えるべきだと思う」
「はぁ? 十分考えてるだろ」
「またすぐそうやって……」
呆れた声を出せばムッとした顔の恵衣くんが私を睨みつける。



