社へ着くなり気が抜けたのか意識を失ってしまった女性を介抱していると、しばらくして玄関の方から賑やかな声が聞こえてきた。
「禄輪さん達帰ってきたみたい。みくりふくり、この人のことお願い」
「ったく、騒がしい奴だな」
細身の狐がふんと鼻を鳴らす。
いつもの事だとでも言うように肩を竦めたお姉さんは立ち上がって「行こう巫寿ちゃん」と私に手を差し出した。
パタパタと廊下を走り抜けると、二人は丁度雪駄を脱ぎ終えて玄関に上がったところだった。
「三門さん、おかえりなさい! 怪我はありませんか」
駆け寄ったお姉さんに目を細めた男性は「うん」と答え、お姉さんの頭に手を乗せる。少し恥ずかしそうに頬を赤らめたお姉さん。
私も禄輪さんに駆け寄った。
「禄輪さん!」
「まったく、何かが起きる度にお前たちがそこにいるのは一体どういう仕組みなんだ」
疲れ果てた口調でそう言った禄輪さんは私の額を弾く。いて、と弾かれたそこを押さえながら苦笑いで首を縮める。
「それ、前に薫先生からも言われました」
私たちの担任である薫先生も今の禄輪さんと同じように呆れた顔でそう言った。
神職さまとお姉さんが笑いながら歩み寄る。
「今回は巫寿ちゃんのおかげで間に合ったわけですから、そう叱らないであげてくでさい」
「この子が私たちに知らせてくれたんです」



