軽く作戦会議を済ませた私たちは直ぐに社を出発した。

まだ私たちは学生の身分で神職活動が正式には認められていないので、保護者兼監督役の神職さまが付き添いと送迎を担ってくれた。聞けば百さんと同期らしい。


「そーいや聖仁さんってまだ神託受けてねぇの?」


移動中のバンの中で、助手席に座る聖仁さんの肩から顔を出した泰紀くんが意外そうにそう声を上げる。


「そうだよ」

「意外だなぁ、とっくに次期宮司に決まってるのかと思ってた」

「まぁ現宮司はまだピンピンしてるしね。うちの父親も神託を受けたのは40とかだったから、もし選ばれるとしても20年は先かな」


神託が降りるのってそんなに遅いんだ。

薫先生は九歳の頃って言ってたし、あやかしの友達である信乃くんも子供の頃だったと言っていた。

私の周りにいる人達が子供のうちに神託を受けているので、そういうものだと思っていたけれど、やはりそこは神様のご意思、人によって違うようだ。


「まだまだ俺も研鑽が足りないってことだね」


聖仁さんで研鑽が足りないなら他の人たちはスタート地点にすら立てていない気がするけど。