禰宜頭はふむふむと頷く。

どうやら私たちが"問題児"と呼ばれているのは、先生達が厳しいからそう呼ばれているだけだと結論づけたらしい。

違うのだけれど、反論はしない。


「ときに聖仁くん、卒業後の予定は?」


きらりと目を光らせた禰宜頭が聖仁さんの両肩をがっしりと掴む。


「すみません。神託はまだなんですけど、実家が社なんで」


申し訳なさそうに肩を竦めた聖仁さんに、禰宜頭は「そうか……」とそれはそれは残念そうに肩を落とした。

どうやら聖仁さんをわくたかむの社の神職にスカウトしたかったらしい。

聖仁さんの実家はお社で、お社の現宮司は聖仁さんのお父様だ。それにここまで優秀なのだから、間違いなく次期宮司に選ばれる未来が確定している。

「選ばれなかった時は是非ウチに」と必死の形相で肩を揺らす禰宜頭に、聖仁さんはいつも通りの笑顔で「ははは」と笑った。


ともあれ聖仁さんのおかげでこの息苦しい会議室から脱出できるようになったわけだ。

先輩たちと実習を受けられる機会なんて滅多にないのだから、これを機に沢山学ばせてもらおう。

グッと握りこぶしを作って意気込んでいると、「何やってんのお前」と恵衣くんに怪訝な顔をされてしまった。