「ごめんごめん、お待たせ」
電話を切った聖仁さんが振り返って首を傾げる。
「巫寿ちゃん? どうしたのぼんやりして」
「へ? あ、いや。その……素敵だなぁって」
ぽかんとした表情をした聖仁さん。しかし直ぐにぷっと吹き出してくつくつと肩を揺らした。
そして「ありがとう」と清々しい笑みを浮かべる。これが想い人を射止めた男の余裕というものなのだろうか。
「……すごく憧れます。二人とも心の底から信じあって、通じ合ってるっていうか」
「まぁ元々は幼なじみだしね。巫寿ちゃんはそういう人いないの?」
突然のパスにカッと頬を赤くする。
「い、いませんよ好きな人なんて!」
「えいや幼なじみの話なんだけど──ふぅん、でもそっか。そうなんだねぇ」
不敵に口角を上げた聖仁さん。
そこでやっと自分が勘違いしていることに気がつく。
最悪だ、早とちりして変なことを口走ってしまった。
からかう訳ではないけれど意地悪い顔でニヤニヤ笑いながら私を見ている。



