「巫寿ちゃん」
百さんさんが私の肩を叩き耳元に顔を寄せる。
「私より詳しい人がいるから、その人に話つけたげる。話してくれるか分かんないけど、芽のことを知りたいならその人から聞きな」
もう一度ぽんと私の肩を叩いた百さんはお膳を持って立ち上がると颯爽と歩いていった。
失敗した、と目を伏せる。神々廻芽のことはこの社ではかなりタブーな話題だったらしい。これからは気安く名前を出したりしないようにしなきゃ。
でも、彼のことをよく知る人物と会わせてもらえるのはラッキーだ。神々廻芽の人物像を知ることで、私を狙う理由が浮かび上がってくるかもしれない。
でも神々廻芽をよく知っている人で、この箝口令が敷かれた中私に話してくれそうや人って一体誰なんだろう。
「ゲーッ、最悪!」
突然そんな声を上げた泰紀くんにみんなの視線が集まる。
「どうかしたか泰紀」
「薫先生がレポート出し直せって。"流石にもうちょっと知的な文章で出してくれなきゃ点数つけれない"って……」
フッ、としっかり聞こえる音量で鼻で笑った恵衣くんに不貞腐れた顔をする。
「亀世さぁん……」
「私は手伝わんぞ。頼むなら聖仁に頼め」
「そういや聖仁さんどこ行ったんだ? 昼休み始まってからすぐ消えたけど、昼飯いらねぇのか?」



