「あんだけヒソヒソ互いの悪口言ってる神職なんてなかなかいないぞ。というか自分達に向けられてないとはいえ、あんだけ堂々と敵意むき出しにしてるヤツらを前にして、よく違和感程度で済んだなお前ら」
「亀世が鋭いだけだよ。それにしてもよくそんなこと知ってたね」
ちょっと呆れたような物言いの聖仁さん。
たしかにどうしてそんなことまで知っているんだろう。
「最初から知ってたわけないだろ。その辺の噂好きそうな巫女助勤をとっ捕まえて聞いたんだよ」
もし私がこの違和感にいち早く気付いていたとしても、堂々と聞き出すことなんて絶対にできない。
さすが、鶴吉さんの妹なだけある。恐るべし。
「とにかく俺たちはこの神社実習で何一つ問題を起こさず最後まできっちりやりきるだけだ。分かった? チーム罰則」
「俺を頭数に入れないでください!」
来光くんのお決まりの台詞は、今日は恵衣くんから飛び出した。自分でもそれに気づいたのか、より一層口角を歪めてバッと顔を背ける。
そんな恵衣くんに私たちはくすくすと肩を揺らした。
笑いながらも、どこか拭いきれない不安が胸を占めているのを感じた。



