しかしすぐに動揺した様子を隠した権宮司は、また目を弓なりにして手を差し出す。
「それは私が受け取ろう。ありがとう」
「あ、はい」
ぎこちなく封筒を手渡す。
それを見つめた権宮司はきゅっと唇を結び目を瞑ると、小さく息を吐き振り返った。
「この二か月間、君たちに伏せているのも無理があるので、先に伝えておこう」
神妙な面持ちで目を伏せた権宮司。突然のことに私たちは顔を見合せて首を捻る。
権宮司の瞳の不安の色がより一層濃くなった。
「わくたかむの社、現宮司である神々廻隆永さまは今────行方が分からなくなっているんだ」



