言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


翌日の朝、清掃と朝拝が終わってホームルーム前にトイレへ立ち寄った後のんびり教室へ戻っていると、廊下の途中で薫先生と初めて見る神職さまが立ち話をしているのを見かけた。

おはようございます、と声をかけると二人が振り返る。


「おはよう、巫寿」

「おはよう」


振り返ったもう一人の神職さまの背格好に驚く。

鍛え抜かれた逞しい肩に薫先生よりも大きい背丈、顔は堀が深く強面で、とても言い方が悪いけれど人の皮を被ったゴリラみたいな神職さまだった。


「巫寿、この人初めて会うよね? 中等部三年の学年主任やってる門澤(もんざわ)斎悠(さいゆう)先生」

「君のことは薫からよく聞いてる」


斎悠先生は目を細めて私を見下ろした。

薫先生のことを名前で呼んだけれど、二人はお知り合いなんだろうか?


「この人、俺の元担任なの。高三の時のね」


なるほど、通りでほかの先生たちと違って親しげなわけだ。

それにしても薫先生の学生時代の担任か。

若かりし頃のヤンチャ具合は何となく話に聞いているので、斎悠先生はかなり苦労させられたことだろう。