*───────────────────
20xx年 xx月xx日
バレエ教室の近くには土手があって、ここにしゃがんでは色んな話をする。
そうしてわたしたちは迎えがきてくれるのを待っている。
「栞ちゃん、また先生に褒められたじゃない」と、たくさんすごいって伝えてくる。
そんなふたりに、わたしは困ってしまう。
褒めてくれたのは学校の先生くらいだから、どうすればよいのだろうか。
「そんなに恥ずかしがっちゃだめだよ」って紗希子ちゃんは言う。
「体操とかやってたの」って聞いてくるのは詩央ちゃんだ。
とくにやってなくて、体育の時間に人より体が柔らかかっただけ。こんな答えでよかったのかな。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
今日も土手で話している。
毎日のレッスンのこととか、学校のようすとか。話したいことはたくさんあった。
そうしたら空は赤くなっていた。
詩央ちゃんのお母さんがやってきた。
じゃあねと手を振った。
そしたら紗希子ちゃんのお母さんがやってきた。
じゃあねと手を振った。
わたしは、朝比奈さんを待ちわびた。
寂しかった。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
「あなたが楽しいならいいじゃない」って言ってくれたのは紗希子ちゃんだった。
バレエの休み時間のことだった。
詩央ちゃんが、お菓子を持ってきてくれていた。お母さんと一緒に作ったという。
小さなお菓子の袋を受け取って、わたしはもらっていいのと聞いた。
そしたら詩央ちゃんがもちろんと微笑んでくれた。
紗希子ちゃんが"詩央はお菓子作りが得意なんだよ"って説明してくれた。
でも、わたしは聞かれてしまった。
きみのお母さんのこと、教えてって。でも、わたしは答えられなかった。
どうしようか悩んでいたら、紗希子ちゃんがわたしの口に人差し指を置いた。
「いいわよ、言わなくて」と、こう言ってくれた。
どうやら、わたしと朝比奈さんとの関係が気になっていたらしい。
だから、わたしの親のことを聞いてみたくなったけれど、やっぱり話さなくていいよってことだった。
「こうしてバレエを楽しんでいるなら、いいじゃない。あなたが楽しいならいいじゃない」帰りの車に乗ろうとしたときに言ってくれた。
かっこよかった。
だから、これからは"紗希子さん"とか"詩央さん"って呼ぼうって決めた。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
今日も土手で話している。
毎日のレッスンのこととか、学校のようすとか。話したいことはたくさんあった。
空が赤くなるまでずっと話していた。
詩央さんが帰っていく。
紗希子が帰っていく。
わたしはふたりに手を振った。
でも、いつまで続けられるんだろうか。
このふたりに会えるんだろうか。
小学校を卒業したら、わたしがあたらしいおうちにいったら......。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
紗希子さんと詩央さんは幼なじみだという。
そういえば、前にもそんな話をしていたっけ。
あらためてこう思ったのは、中学校をどこにするかっていう話になったから。
わたしは私学とかエスカレーター式のところとかについて考えるよゆうがなかった。だから地元の県立だと話したら、ふたりもそうだと言った。
「いっしょに勉強したいよ」って言ってくれたのは詩央さんだった。紗希子さんも頷いている。
たしかに、それは楽しいなって思う。
でも、さすがにとなりの県までは通うことができなかった。
「ねえ、バレエ辞めないよね」って紗希子さんが言った。
急に何を言うのだろうと、わたしも詩央さんも彼女を見つめる。
「バレエ辞めなかったら、ここで会えるからね」って言うものだから、わたしは嬉しくなった。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
はれて中学生になった。
自己紹介ではきちんと施設のことを話した。そしたらみんな受け入れてくれた。
休み時間になると、わたしに話しかけてくれる生徒がたくさんいた。
手足が長くてうつくしいとか、肌がきめ細かくてきれいとか、お人形さんみたいだとか。代わる代わるに口にしていた。
なにかやっているの? と聞かれたから素直にバレエをやってるよって説明した。
みんなきゃあきゃあ言ってはしゃいでいた。
踊っているところを観たいって言われて、そういえば教室の発表会のことを思い出した。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
朝比奈さんはわたしの姿を見ては、首をかしげた。不思議なものを見ているようなしぐさをした。
なんでそうなるのか分からない。
だって、わたしが着ているのは中学校の制服姿だ。いつも学校に行くのと一緒の格好なんだから。
前回のレッスンのときに、紗希子さんが提案してきた。
こんど中学の制服を着て教室に集まろうって。なんだか楽しくなって、わたしは何度もなんども鏡の前で姿をチェックした。
「そんなに見なくてもだいじょうぶよ」って朝比奈さんに声をかけられるまで続いた。
制服を着たわたしの姿を見たふたりは感動していた。
シンプルなブレザースタイルだけど、それがまたいいって言っていた。勉強が出来そうに見えるからかっこいいって。胸元につけるリボンがかわいいって。
対するふたりは吊りスカートだった。紺色のスカートに大きなスカーフが可愛らしくもあり上品な印象だった。
みんなはしゃぎ合った。
心機一転して、またひとつバレエに力を入れようって誓いあった。
同じ夢がある。そのかがやきって素晴らしいと思った。
────────────────────
......胸騒ぎがした。
誓いあった友情のはずなのに、どうしてちがって見えてしまったのだろう。
この気づきが嘘であってほしいなと思った。
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
わたしたちには、ひとつの目標があった。
15歳を迎える子をメインのキャストとする公演。なんでも、この教室の伝統だという。成人まであと少しのお祝いとか戦国時代にあったとされる初陣式にちなんでいるとか、いろんなことに由来があるらしい。
とはいえ、学業の関係とかで辞めていく人もいるから、一部では卒業公演と思っているのかもしれない。
みんなで舞台に立とうねって詩央さんが言った。
同い年は私たちしかないからって。
ずっと先だけど、なんだか実感が持てなかった。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
レッスンはどんどん難しくなっていった。
それでも、みんながんばっている。腕を伸ばして、つま先立ちをして。
公演で主役になるのを夢見ている。
バレリーナといっても、プロですら脇役ばかりを踊りつづけてキャリアを終えてしまう人もいる。主役級の役を踊るようになっていく人もいる。
わたしたちには、そんなことすら考えていなかった。公演のその先にあるものを夢見ている。プロになるのを夢見ている。
それもみんな、努力しだい。
トゥシューズをまたひとつだめにした。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
帰り支度をしていると、先生に声をかけられた。
栞はまた一段ときれいな所作ができるようになったねって褒めてくれた。
とても嬉しかった。
ふたりも拍手をしてくれた。
帰り支度をしていると、紗希子さんはまだ練習していくという。
人一倍、努力家だなと思った。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
教室の隅にしゃがんで休憩している。
すると、庭に紫陽花が咲いているのに気づいた。いつの間にか満開だった。
わたしのとなりにいた詩央さんが、紫陽花って明け方の空の色なんだよと、そんな雑談を教えてくれた。博学だなあと思っていると、なんでも国語の先生にあこがれているからだった。
そういう人になりたい、と教えてくれた。
「栞の髪のようすだね」って紗希子さんが言った。
髪なんて染めてないしなあと思っていると、それほどに美しいんだよってことだった。
照れ隠しに、わたしは立ち上がった。
みんな、将来のことについて考えていて、素敵だった。
お手洗いから戻っているところで、ふと立ち止まった。
中から聞こえる声が気になってしまったから。
「......私、だめかもしれない」
詩央さんの声だった。
もうひとつ声が聞こえる。一緒に話しているのは紗希子さんだろうか。
なにがだめなんだろうか。聞いちゃいけないとわかっているのに、扉の前に立って、聞き耳を立ててしまった。
「......栞さんに、勝てないかもしれない」
わたしはドアノブにかけていた手を離して、少し庭に出ていった。
────────────────────
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
だれかが主役を踊れる。だれかが脇役を演じる。
いちばん輝く衣装を着られるのはひとりだけ。まわりの子なんて、リフトされないかもしれない。
怖かった。
みんなで同じ舞台に立てることは分かっているのに、ちがいが生まれてしまう。
平等じゃない役回りで成り立つ世界だって、このときはじめて気づいた。
────────────────────
ここで読む手が止まった。
ページをめくったら、見えてきたものは、ただの白紙だった。
ただ書く紙面を間違ったとは思えなかった。
次のページをめくろうとする。けれども、なんだかその手が重かった。鼓動が大きく鳴ってしまう。なんだろう、自分の身になにが起きているんだろう。
読んではいけない気がした。いけないことに触れるんじゃないかと本能的に思った。
......それでも知りたかった。彼女たちの秘密に。
20xx年 xx月xx日
バレエ教室の近くには土手があって、ここにしゃがんでは色んな話をする。
そうしてわたしたちは迎えがきてくれるのを待っている。
「栞ちゃん、また先生に褒められたじゃない」と、たくさんすごいって伝えてくる。
そんなふたりに、わたしは困ってしまう。
褒めてくれたのは学校の先生くらいだから、どうすればよいのだろうか。
「そんなに恥ずかしがっちゃだめだよ」って紗希子ちゃんは言う。
「体操とかやってたの」って聞いてくるのは詩央ちゃんだ。
とくにやってなくて、体育の時間に人より体が柔らかかっただけ。こんな答えでよかったのかな。
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20xx年 xx月xx日
今日も土手で話している。
毎日のレッスンのこととか、学校のようすとか。話したいことはたくさんあった。
そうしたら空は赤くなっていた。
詩央ちゃんのお母さんがやってきた。
じゃあねと手を振った。
そしたら紗希子ちゃんのお母さんがやってきた。
じゃあねと手を振った。
わたしは、朝比奈さんを待ちわびた。
寂しかった。
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20xx年 xx月xx日
「あなたが楽しいならいいじゃない」って言ってくれたのは紗希子ちゃんだった。
バレエの休み時間のことだった。
詩央ちゃんが、お菓子を持ってきてくれていた。お母さんと一緒に作ったという。
小さなお菓子の袋を受け取って、わたしはもらっていいのと聞いた。
そしたら詩央ちゃんがもちろんと微笑んでくれた。
紗希子ちゃんが"詩央はお菓子作りが得意なんだよ"って説明してくれた。
でも、わたしは聞かれてしまった。
きみのお母さんのこと、教えてって。でも、わたしは答えられなかった。
どうしようか悩んでいたら、紗希子ちゃんがわたしの口に人差し指を置いた。
「いいわよ、言わなくて」と、こう言ってくれた。
どうやら、わたしと朝比奈さんとの関係が気になっていたらしい。
だから、わたしの親のことを聞いてみたくなったけれど、やっぱり話さなくていいよってことだった。
「こうしてバレエを楽しんでいるなら、いいじゃない。あなたが楽しいならいいじゃない」帰りの車に乗ろうとしたときに言ってくれた。
かっこよかった。
だから、これからは"紗希子さん"とか"詩央さん"って呼ぼうって決めた。
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20xx年 xx月xx日
今日も土手で話している。
毎日のレッスンのこととか、学校のようすとか。話したいことはたくさんあった。
空が赤くなるまでずっと話していた。
詩央さんが帰っていく。
紗希子が帰っていく。
わたしはふたりに手を振った。
でも、いつまで続けられるんだろうか。
このふたりに会えるんだろうか。
小学校を卒業したら、わたしがあたらしいおうちにいったら......。
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20xx年 xx月xx日
紗希子さんと詩央さんは幼なじみだという。
そういえば、前にもそんな話をしていたっけ。
あらためてこう思ったのは、中学校をどこにするかっていう話になったから。
わたしは私学とかエスカレーター式のところとかについて考えるよゆうがなかった。だから地元の県立だと話したら、ふたりもそうだと言った。
「いっしょに勉強したいよ」って言ってくれたのは詩央さんだった。紗希子さんも頷いている。
たしかに、それは楽しいなって思う。
でも、さすがにとなりの県までは通うことができなかった。
「ねえ、バレエ辞めないよね」って紗希子さんが言った。
急に何を言うのだろうと、わたしも詩央さんも彼女を見つめる。
「バレエ辞めなかったら、ここで会えるからね」って言うものだから、わたしは嬉しくなった。
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20xx年 xx月xx日
はれて中学生になった。
自己紹介ではきちんと施設のことを話した。そしたらみんな受け入れてくれた。
休み時間になると、わたしに話しかけてくれる生徒がたくさんいた。
手足が長くてうつくしいとか、肌がきめ細かくてきれいとか、お人形さんみたいだとか。代わる代わるに口にしていた。
なにかやっているの? と聞かれたから素直にバレエをやってるよって説明した。
みんなきゃあきゃあ言ってはしゃいでいた。
踊っているところを観たいって言われて、そういえば教室の発表会のことを思い出した。
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20xx年 xx月xx日
朝比奈さんはわたしの姿を見ては、首をかしげた。不思議なものを見ているようなしぐさをした。
なんでそうなるのか分からない。
だって、わたしが着ているのは中学校の制服姿だ。いつも学校に行くのと一緒の格好なんだから。
前回のレッスンのときに、紗希子さんが提案してきた。
こんど中学の制服を着て教室に集まろうって。なんだか楽しくなって、わたしは何度もなんども鏡の前で姿をチェックした。
「そんなに見なくてもだいじょうぶよ」って朝比奈さんに声をかけられるまで続いた。
制服を着たわたしの姿を見たふたりは感動していた。
シンプルなブレザースタイルだけど、それがまたいいって言っていた。勉強が出来そうに見えるからかっこいいって。胸元につけるリボンがかわいいって。
対するふたりは吊りスカートだった。紺色のスカートに大きなスカーフが可愛らしくもあり上品な印象だった。
みんなはしゃぎ合った。
心機一転して、またひとつバレエに力を入れようって誓いあった。
同じ夢がある。そのかがやきって素晴らしいと思った。
────────────────────
......胸騒ぎがした。
誓いあった友情のはずなのに、どうしてちがって見えてしまったのだろう。
この気づきが嘘であってほしいなと思った。
*───────────────────
20xx年 xx月xx日
わたしたちには、ひとつの目標があった。
15歳を迎える子をメインのキャストとする公演。なんでも、この教室の伝統だという。成人まであと少しのお祝いとか戦国時代にあったとされる初陣式にちなんでいるとか、いろんなことに由来があるらしい。
とはいえ、学業の関係とかで辞めていく人もいるから、一部では卒業公演と思っているのかもしれない。
みんなで舞台に立とうねって詩央さんが言った。
同い年は私たちしかないからって。
ずっと先だけど、なんだか実感が持てなかった。
────────────────────
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20xx年 xx月xx日
レッスンはどんどん難しくなっていった。
それでも、みんながんばっている。腕を伸ばして、つま先立ちをして。
公演で主役になるのを夢見ている。
バレリーナといっても、プロですら脇役ばかりを踊りつづけてキャリアを終えてしまう人もいる。主役級の役を踊るようになっていく人もいる。
わたしたちには、そんなことすら考えていなかった。公演のその先にあるものを夢見ている。プロになるのを夢見ている。
それもみんな、努力しだい。
トゥシューズをまたひとつだめにした。
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20xx年 xx月xx日
帰り支度をしていると、先生に声をかけられた。
栞はまた一段ときれいな所作ができるようになったねって褒めてくれた。
とても嬉しかった。
ふたりも拍手をしてくれた。
帰り支度をしていると、紗希子さんはまだ練習していくという。
人一倍、努力家だなと思った。
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20xx年 xx月xx日
教室の隅にしゃがんで休憩している。
すると、庭に紫陽花が咲いているのに気づいた。いつの間にか満開だった。
わたしのとなりにいた詩央さんが、紫陽花って明け方の空の色なんだよと、そんな雑談を教えてくれた。博学だなあと思っていると、なんでも国語の先生にあこがれているからだった。
そういう人になりたい、と教えてくれた。
「栞の髪のようすだね」って紗希子さんが言った。
髪なんて染めてないしなあと思っていると、それほどに美しいんだよってことだった。
照れ隠しに、わたしは立ち上がった。
みんな、将来のことについて考えていて、素敵だった。
お手洗いから戻っているところで、ふと立ち止まった。
中から聞こえる声が気になってしまったから。
「......私、だめかもしれない」
詩央さんの声だった。
もうひとつ声が聞こえる。一緒に話しているのは紗希子さんだろうか。
なにがだめなんだろうか。聞いちゃいけないとわかっているのに、扉の前に立って、聞き耳を立ててしまった。
「......栞さんに、勝てないかもしれない」
わたしはドアノブにかけていた手を離して、少し庭に出ていった。
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20xx年 xx月xx日
だれかが主役を踊れる。だれかが脇役を演じる。
いちばん輝く衣装を着られるのはひとりだけ。まわりの子なんて、リフトされないかもしれない。
怖かった。
みんなで同じ舞台に立てることは分かっているのに、ちがいが生まれてしまう。
平等じゃない役回りで成り立つ世界だって、このときはじめて気づいた。
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ここで読む手が止まった。
ページをめくったら、見えてきたものは、ただの白紙だった。
ただ書く紙面を間違ったとは思えなかった。
次のページをめくろうとする。けれども、なんだかその手が重かった。鼓動が大きく鳴ってしまう。なんだろう、自分の身になにが起きているんだろう。
読んではいけない気がした。いけないことに触れるんじゃないかと本能的に思った。
......それでも知りたかった。彼女たちの秘密に。


