眼鏡のフレーム下から滴る雫が月夜でキラキラと光る。
 一粒流したら、まるで追いかけっこでもしているかのように次々と追いかけてくる。
 夢じゃない……よね……。
 もしこれが夢だとしたら、このまま覚めないでほしい。

 顔を真っ赤にしたまま感情的になってると、先生は穏やかな表情で私の頬をすくうように両親指で雫を拭った。


「忘れられなかった。あの頃もこうやって捕まえたかった。でも、努力一つだけじゃ難しいと思い知らされたよ」

「先生……」

「キミはもう立派な大人だよ。それに、二人の間に阻むものなんてない。辛い想いをさせてしまったぶん、これからは毎日好きと言い続けるよ」

「……っ」


 恋の香りがふわりと漂ってくると、まるでトランポリンで遊んでいるかのように胸が弾んだ。
 先生……。
 私、もう我慢しなくていいんだね。
 隣にいてもいいんだよね。
 これからもずっと好きでいていいんだよね……。