「み〜のりっ!! 久しぶり」


 大きなリュックサックを背負ったような衝撃で後ろから抱きついてきた人物に振り返る。
 すると、先生はこのタイミングで他の人に呼ばれて場を離れて行った。


「あっ、さや!! 2年ぶり~っ! 見ないうちにきれいになっちゃってぇ〜」

「みのりこそ大人っぽくなったじゃん。浮いた話を持ってこないということは、相変わらず先生が忘れられないの?」

「えへへ。あの頃はドラマチックな恋だったからね」


 2年の時を感じさせられるほど、彼女はメイクレベルが上がって少し大人っぽくなっていた。
 私もそう見えているのかな。……だといいな。
 あ、そうだ!


「ねぇ、久保田先生ってどんなイメージがある?」

「いきなりなに? ……てか、まんまじゃん」

「いいから!」

「真面目で女子からモテモテ。紺色のスーツをビシッとキメて、眼鏡をかけてるイメージかな?」

「やっぱりそうだよね! 眼鏡……うん。私は間違ってないよね」


 やっぱりトレードマークは眼鏡だよね。
 先生はどうして笑ったんだろう。


「……なんの話?」

「ううん、なんでもない!」


 ――同窓会開始から2時間ほど経過。
 緊張感に包まれていた会場はお酒とともに砕けた雰囲気に。
 笑い声があちこちに散らばり、私の頬もほんのり熱い。

 すると、ある男子の声が私の耳を引き止めた。