朝の教室はいつも通りのざわめきに包まれていた。
でも、真央の心はいつもと違った。どこか落ち着かず、視線は律の方へ何度も向かってしまう。

律がクラスメイトの女子と話している。
その女子は楽しそうに笑い、律も笑顔で応じている。

真央は心の中でつぶやいた。
(なんであんなに近くにいるんだろう…)

胸がざわざわして、モヤモヤした感情が押し寄せる。

「別に、気にしてるわけじゃない…」

真央は自分に言い聞かせるけど、その言葉とは裏腹に顔が熱くなっていくのを感じた。

放課後、購買の前で律がパンを買っている。
真央は少し離れて律を見ていたが、律はすぐに気づいて振り返る。

律はニヤリと笑って言った。
「やきもち?それ、嬉しいかも」

真央は一瞬顔を赤らめて目をそらす。

律はその真っ赤な顔を見て、からかうように続けた。
「真央のその顔、もっと見たいな」

真央は動揺して、慌てて視線を逸らすけど、心はドキドキが止まらなかった。

その後も、律が誰かと話すたびに、真央の視線は律に釘付けだった。
無意識に独占欲が芽生えていることに気づきながらも、認めたくなかった。

(これって…嫉妬?)

真央は思わず自分の感情に戸惑い、心臓が早鐘のように鳴っているのを感じた。

律はそんな真央を見て、ニヤリと微笑んだ。
「俺はお前が、そうやって嫉妬する顔も好きだよ」

真央は顔を真っ赤にして、慌てて律の顔を見つめる。

律のからかうような優しい言葉に、真央はますます律のことを意識してしまうのだった。