生意気でごめん、先輩




劇が始まる前まであったはずだったため、体育館付近を探し回ったが俺のスマホは見つからない。
もう、なんかどうでもよくなってきた。

「ねえねえ、生田くん、これ行こうよ」

途中まで一緒に探してくれていた原瀬さんも疲れてきたのか俺と同じく投げやりになってきたのかおちゃらけたような口調で俺にそう言った。
顔を上げて原瀬さんが指をさした方へと顔を向ける。

「げ」と顔が歪んだ。どこもかしこも教室は華やかに飾られているためよく分からず歩き回っていたが、よく見ればそこは3年生の教室が並んでいる。

そして原瀬さんが示したところは、綴先輩のクラスであった。

「宝探しゲーム?」

「面白そうじゃない?」

「ふざけんなよ、宝探す暇あったら俺のスマホ探してくれや」

それに綴先輩がいたら気まずいし。
渋る俺に原瀬さんはそんなことは知らないのか、もう知ったこっちゃない精神なのかグイグイと俺の手を引っ張った。

「せっかくだし、楽しもうよ。スマホだっていつか見つかるって」

楽観的だ。呆れながら俺は抵抗するのをやめ、列に並んだ。
しばらく待って、俺たちの番になる。
入り口に立っている先輩が「どうぞ〜」と俺たちを中に促した。俺のスマホのことなど忘れたのか原瀬さんが楽しそうに中に入っていく。

綴先輩、いるだろうかとそんなことを考えながら原瀬さんの幾分か後ろを着いていけば、に入って早々現れたのは期待外れの人物。

「君たちは、選ばれた冒険者である…って、なんだよお前かよ」

正面に立ったのは海賊のような格好をして、いかにもな髭をつけている兄貴の姿。
なんで綴先輩より兄貴に遭遇する回数のが多いんだよ、ふざけんな。

すると兄貴は、俺の隣にいる原瀬さんをちらりと見た。

「なに、一星、お前彼女できたの?」

「ちげえよ」

「その無神経さは、生田兄ね」

「無神経さの基準で兄弟判定しないでくんない?」

兄貴は苦笑いを浮かべながら原瀬さんにそう言った。
そしてため息をついた後、片方の足に重心を預けて怠そうに話し始める。

「…ええっと、ここではいくつかの謎を解いて宝探しをするみたいなことができまーす。最後には、なんかいい感じのお宝をもらえちゃうかも、それでは頑張ってえ」

「せめてキャラは最後までしっかりやれやクソ兄貴」

「やかましいわ、はよいけ」

足を軽く蹴られて、俺は兄貴を睨みながら中に入っていく。薄暗い空間には紙で作った森のようなセットが生い茂っていた。

「お兄さんの格好、海賊だから海モチーフかと思ったけど森なのね謎だわ」

「普通に受験生だから用意しやすいやつにしたんだろ」

「なるほどね」と呟きながら奥に進んでいく原瀬さん。そしてしばらくして段ボールで作られた太めの切り株の前で足を止めた。
少し屈み、切り株の上に置いてある紙を掴んだ後、俺の方にそれを見せてきた。