梅雨の晴れ間の日だった。
 期末テストがすべて揃い、帰りのホームルームで学年順位と点数がまとまった二つ折りの冊子を渡された。
 わたしは、先生からそれを受け取って、大きく息を吐いた。
 ホームルームのあと、テストの結果の話で、教室は声にあふれた。「やばかった。めっちゃ下がった」「数学やらかした」「俺、国語過去最高だった」
 わたしは、澪にも声をかけず、教室をあとにした。

 今日は塾がない。まっすぐ家に帰って、自室で勉強していた。
 お兄ちゃんが帰ってくる。お兄ちゃんはわたしに声をかけてから、部屋にこもる。
 デスクに向かって、返ってきたテストの間違えた問題を丁寧に解き直す。どこで間違えたのか。何故間違えたのか。どうすれば間違えないのか。
 わたしは、自分のために勉強をする。わたしが、わたしを好きになれるように。