私は『ねぇ』っていう言葉が好きだ。

なんだか言葉の始まりが『ねぇ』だと
捻くれてる私が、いつもより少しだけ素直になれる気がするから。

──ねぇ、君はそう思わない?

君からの返事は照れてるのか恥ずかしいのか、いつもそっけない。

私は『ねぇ』『ねぇ』って2回繋げて言葉にするのも好き。

言葉少なめの君に、少しだけいつもよりちゃんと届くような気がするから。


ねぇ、ねぇ、こっち向いてよ。 

ねぇ、ねぇ、好きだよ。

ねぇ、ねぇ、私ね……。


沢山の『ねぇ』は、君を呼んだりワガママな私の話をただ君に聞いて欲しかったり、君に私をもうちょっとだけ見て欲しかったり。

ただ私をわかって欲しかったり。

そんな時決まって私は『ねぇ』って、君にだけ言葉にするんだよ。

だからあんまり意地悪な顔しないでよ。
泣き虫っておでこをコツンってしないでよ。
落ち込んでるとき急に後ろから、ぎゅって抱きしめたりしないでよ。

──ねぇ ねぇ 聞いてる?

私の『ねぇ』に、君が『おいで』って言ってくれるのが大好きだったよ。 

ねぇ、ちゃんと君に言えば良かった。

ねぇ、ねぇ、すっごく好きだったのに。  

ねぇ、さっきの嘘だよっていってよ。

ねぇ、ねぇ、まだ大好きなのに。


──季節がいくつ過ぎ去っても構わないから、いつか君にまた『ねぇ』って言えたらいいのにね。

そんな未来をまだ夢見てる。

私の隣に君がいる未来。
私の『ねぇ』に君が眉を下げて笑う顔を。

ねぇ、君は元気にしていますか?

ねぇ、私はちゃんと元気だよ。


ねぇ、ねぇ、……ばいばい。