音大の合格なんて、当たり前に簡単じゃなくて。
 私は高校卒業から二年経って、やっと合格出来た。二浪でも、好きなことを出来ている今の自分を嫌えるはずがなくて。そして、隣には大好きな人がいる。

「はぁ……次の学期末試験が不安すぎる。落ちたらどうしよう」

 わざと大きな声でそう言って、私は隣に座っていいる川辺くんをチラッと見た。



「落ちても良いよ。でも、代わりに最後まで諦めないで」



 いつもの言葉。いつもの川辺くんの言葉。
 でも、今日の私はある勇気を振り絞る決意をしていた。




「うん、元気出た。諦めないよ。これからも絶対に諦めない。もう……いや、ずっと前から私は覚悟を決められているみたい。責任も自分で取れる。でも、」




「これからも隣にいてね。川辺くん」




 私は、もう二度と諦めることに慣れてなんかやらない。



fin.