「七瀬リツカです。休日はスポーツ観戦したりするのが趣味です。一年間よろしくお願いします」
結局、僕らはなんとか始業式に間に合うことができ、今はクラスでの自己紹介の時間。
一人一人名前と何か一言言っていくのがいつの間にか暗黙の了解として決められていたので、その雛形に沿うように席を立って自己紹介する。
「庭瀬颯太」
出席番号順で僕の後ろの席の颯太がそれだけ言って座った。
周りの人達はそれを聞いてどこかざわつき始める。
「え、あれだけ?」
「というか、庭瀬くん結構かっこよくない?!」
「そうだけど、ちょっと感じ悪くない?」
「顔が良かったら私それでいいけどなぁ」
隣や前から次々と声が上がる。
颯太のこの行動も話すのが苦手なだけで、悪気がある訳じゃないんだよなぁ。
イケメンってやっぱり大変だなと颯太を方を見ると彼は何食わぬ顔で席に座っていた。
それを見兼ねた僕は隣でヒソヒソと騒ぐ女子二人組にコソッと小声で話しかける。
「あいつ、人見知りなんだよ。悪気があるわけじゃないから許してやって」
すると女子達は「なんだ、きつい性格の人だと思っちゃった」とすんなりと誤解を解いてくれたようだ。
「颯太も誤解は放置したらダメでしょ?!それで割を食うのは颯太だぞ」
後ろを向いてコソコソと喋ると颯太はゆるりと表情を緩ませた。
「それでもいいよ。俺にはリカが居るから」
照れた様子も少しも見せずに颯太は微笑んだ。
全く、その男は一体何を言ってるんだっ!
「リカ、照れてる?」
「照れてない!それと、名前!ちゃんとリツカって呼んでくれ」
「分かった、気をつける」
そうやって颯太はまた微笑んだ。
この余裕な感じが、イケメンをイケメンたらしめている気がする……。
「というか、七瀬君さぁ」
「なに?」
隣から声がして慌てて颯太から目線を離す。
「庭瀬君と仲良いんだね」
「え?あぁ、昔からの幼なじみでさ」
「え、昔ってどれくらい?」
「小学校の頃から」
「もう十年くらいずっと一緒なの?そりゃ仲良いわけだ」
「ねぇ、庭瀬君の情報教えてくれたりしない?!」
「何あんた狙ってんの?」
「そういうのじゃないけど……気になるじゃん!」
「あはは……」
女子の高いテンションについていくのは中々骨が折れる。
いつも話してるのが物静かな颯太だからって言うのもあるのか?
「ねぇ、七瀬君のこと、リツカ君って呼んでいい?」
「え、あ、うん。いいよ」
「あんたもちゃっかり七瀬くんのこと狙ってんじゃん」
「可愛い顔してて、正直タイプなんだよね〜」
思わず返事しちゃった……。
それにそんな話本人の目の前でされるとこちらとしてはどう反応したら良いかわからない。
「私のことも名前で呼んでいいよ?」
「私も私も!」
「えぇっと……」
女子のテンションが高い!
僕だってあまりコミュニケーションが得意な方じゃない。
颯太と比べるとまだマシなだけ。
ビクビクしていると後ろから不意に手が伸びた。
「こいつは俺のなのであんまり手出さないでください」
「え?何言ってんの颯太……」
急すぎて困惑していると女子達は何かに気がついたかのように口を手で覆い、目を合わせていた。
「二人ともめっちゃ仲良いじゃん。というか、リツカ君もごめんね。グイグイ行き過ぎちゃったかも」
「いや、大丈夫……」
だけど、なんか変な勘違いされてない?
そんな考えが頭の中から離れない。
「じゃあ、チャイムもそろそろ鳴るし、これが終わったらもう帰っていいから。明日からみんなよろしくね」
いつの間にか自己紹介も終わったようで先生の一声でみんな帰り支度を始める。
「じゃあ、私この後部活あるから」
「私も隣のクラスの子と遊びに行くんで、お先に〜」
と、女子二人はチャイムが鳴り、そうそうに教室を出ていってしまった。
「リツカも帰ろ」
先程のことが無かったかのように颯太はいつも通り話しかけてきた。
「絶対変な勘違いされてるよ」なんて気まずくて颯太に言えるはずもなく、「帰るか」と言って僕らも教室を早々に立ち去った。
結局、僕らはなんとか始業式に間に合うことができ、今はクラスでの自己紹介の時間。
一人一人名前と何か一言言っていくのがいつの間にか暗黙の了解として決められていたので、その雛形に沿うように席を立って自己紹介する。
「庭瀬颯太」
出席番号順で僕の後ろの席の颯太がそれだけ言って座った。
周りの人達はそれを聞いてどこかざわつき始める。
「え、あれだけ?」
「というか、庭瀬くん結構かっこよくない?!」
「そうだけど、ちょっと感じ悪くない?」
「顔が良かったら私それでいいけどなぁ」
隣や前から次々と声が上がる。
颯太のこの行動も話すのが苦手なだけで、悪気がある訳じゃないんだよなぁ。
イケメンってやっぱり大変だなと颯太を方を見ると彼は何食わぬ顔で席に座っていた。
それを見兼ねた僕は隣でヒソヒソと騒ぐ女子二人組にコソッと小声で話しかける。
「あいつ、人見知りなんだよ。悪気があるわけじゃないから許してやって」
すると女子達は「なんだ、きつい性格の人だと思っちゃった」とすんなりと誤解を解いてくれたようだ。
「颯太も誤解は放置したらダメでしょ?!それで割を食うのは颯太だぞ」
後ろを向いてコソコソと喋ると颯太はゆるりと表情を緩ませた。
「それでもいいよ。俺にはリカが居るから」
照れた様子も少しも見せずに颯太は微笑んだ。
全く、その男は一体何を言ってるんだっ!
「リカ、照れてる?」
「照れてない!それと、名前!ちゃんとリツカって呼んでくれ」
「分かった、気をつける」
そうやって颯太はまた微笑んだ。
この余裕な感じが、イケメンをイケメンたらしめている気がする……。
「というか、七瀬君さぁ」
「なに?」
隣から声がして慌てて颯太から目線を離す。
「庭瀬君と仲良いんだね」
「え?あぁ、昔からの幼なじみでさ」
「え、昔ってどれくらい?」
「小学校の頃から」
「もう十年くらいずっと一緒なの?そりゃ仲良いわけだ」
「ねぇ、庭瀬君の情報教えてくれたりしない?!」
「何あんた狙ってんの?」
「そういうのじゃないけど……気になるじゃん!」
「あはは……」
女子の高いテンションについていくのは中々骨が折れる。
いつも話してるのが物静かな颯太だからって言うのもあるのか?
「ねぇ、七瀬君のこと、リツカ君って呼んでいい?」
「え、あ、うん。いいよ」
「あんたもちゃっかり七瀬くんのこと狙ってんじゃん」
「可愛い顔してて、正直タイプなんだよね〜」
思わず返事しちゃった……。
それにそんな話本人の目の前でされるとこちらとしてはどう反応したら良いかわからない。
「私のことも名前で呼んでいいよ?」
「私も私も!」
「えぇっと……」
女子のテンションが高い!
僕だってあまりコミュニケーションが得意な方じゃない。
颯太と比べるとまだマシなだけ。
ビクビクしていると後ろから不意に手が伸びた。
「こいつは俺のなのであんまり手出さないでください」
「え?何言ってんの颯太……」
急すぎて困惑していると女子達は何かに気がついたかのように口を手で覆い、目を合わせていた。
「二人ともめっちゃ仲良いじゃん。というか、リツカ君もごめんね。グイグイ行き過ぎちゃったかも」
「いや、大丈夫……」
だけど、なんか変な勘違いされてない?
そんな考えが頭の中から離れない。
「じゃあ、チャイムもそろそろ鳴るし、これが終わったらもう帰っていいから。明日からみんなよろしくね」
いつの間にか自己紹介も終わったようで先生の一声でみんな帰り支度を始める。
「じゃあ、私この後部活あるから」
「私も隣のクラスの子と遊びに行くんで、お先に〜」
と、女子二人はチャイムが鳴り、そうそうに教室を出ていってしまった。
「リツカも帰ろ」
先程のことが無かったかのように颯太はいつも通り話しかけてきた。
「絶対変な勘違いされてるよ」なんて気まずくて颯太に言えるはずもなく、「帰るか」と言って僕らも教室を早々に立ち去った。



