悠慎にとって、美咲美が店にいる時間はもはや特別なものになりつつあった。
しかし、それを認めるのは簡単ではない。
彼女は客だ。ただの食事をしに来る常連客。そう思うことにしていた。
けれど、彼女の声や表情が、料理を作るたびに頭の片隅に残る。
(…くだらん。)
そう思いながらも、今日もまた、彼は彼女のために料理を作る。