幹太は石を拾い、影たちを追い払おうと投げつけた。しかし、影たちは怯むどころかさらに近づいてくる。
「無理だ、力で抑え込むのは!」
琴乃が叫び、幹太の腕を掴む。
「じゃあどうすればいいんだ!?」
幹太が答えると、琴乃は一瞬考えた後、影たちに向かって声を張り上げた。
「私たちは争いに来たんじゃない! あなたたちを傷つけるつもりはないの!」
すると影たちはピタリと動きを止めた。静寂が訪れ、霧の中で赤い目が揺らめく。
「やった……?」
幹太が呟くと、影たちはゆっくりと消えていった。