霧に包まれた村の外れ、小さな広場の中心に立つ石碑の前で、幹太と琴乃は深呼吸をしていた。周囲には村人たちが見守っている。先ほど槍を持った男が言った通り、この石碑を通して「門神の試練」が始まるという。
「本当に行くんだな?」
槍の男が最後に確認するように尋ねた。
「行きます。」
幹太は短く答えた。その声には、瑞道を探し出すという強い決意がこもっていた。琴乃も静かに頷き、横に並ぶ。
「よし……準備はいいな。」
男が石碑に触れると、古びた石の表面に突然、淡い青い光が広がった。紋様が浮かび上がり、碑全体が淡い輝きを放つ。霧が渦巻くように動き出し、空間そのものが歪む感覚に襲われる。
「来るぞ!」
男が叫ぶと同時に、幹太と琴乃は光の中に吸い込まれた。