「過去を捨てる……未来を捨てる……?」
琴乃が困惑した表情を浮かべる。
「どっちにしても、ただの力じゃない。俺たち自身が何かを失う覚悟をしなきゃならないってことだ。」
幹太は拳を握りしめながら言った。
琴乃はしばらく黙り込んだ後、小さく首を振った。
「私は……未来を捨てるなんてできない。未来がなくなったら、何のために進むのかわからなくなる。」
「でも、過去だって……今の俺たちを作った大切なものだろ?」
幹太は真剣な表情で琴乃を見つめた。
「じゃあ、どうすればいいの?」
琴乃の声は震えていた。選択を迫られるこの状況に、答えを出せないまま、二人はただ宝石を見つめ続けた。