進むにつれ、二人の周りに不気味な幻影が現れ始めた。それは霧でできた人影や、不明瞭な光景だったが、どれも二人の心に訴えかけるものがあった。
「これ……瑞道?」
幹太が足を止める。幻影の中に、瑞道の姿が映し出されていた。
「瑞道がここにいるの?」
琴乃も驚いてその幻影に近づこうとするが、幻影は手を伸ばす前に消えてしまった。
「追いかけるべきか……?」
幹太が迷いながらも足を進めようとしたその時、再び門神の声が響いた。
「幻影に惑わされるな。お前たちが進むべき道は、自ら選び取るものだ。」
その声は厳格だったが、同時にどこか優しさも感じさせた。