霧の中を進むと、やがて黒い石で作られた門が現れた。門には、幹太が持つ鍵の形と一致する穴が空いている。
「ここで使うんだな。」
幹太が鍵を取り出し、静かに鍵穴に差し込む。鍵が回る音とともに、重い音を立てて門が開いた。
門の向こうには、まったく異なる景色が広がっていた。青白い光に満たされた空間には、いくつもの階段と柱が複雑に絡み合い、まるで万華鏡の中に迷い込んだような錯覚を覚えた。
「……なんだこれ、どこまで続いてるんだ?」
幹太が圧倒されたように呟く。
「この空間、なんだか時間そのものが歪んでいる感じがする。」
琴乃も目を見開きながら答えた。
二人は足元を確かめながら、一歩ずつ階段を進み始めた。