霧に包まれた建物を後にした幹太と琴乃は、手にした鍵を見つめながら静かに歩いていた。鍵は冷たい金属製で、握るとほんのり光を放つ。先ほどの台座にあった秘宝というには、あまりにも簡素なものだった。
「この鍵……どうしてこんなに特別な感じがするんだろう。」
琴乃が小さく呟いた。
「たぶん、これが何かを開けるためのものなんだろうけど、具体的に何を指してるのかはわからないな。」
幹太は手の中で鍵を転がしながら、答えを探るように言った。