影が消えると、建物の中は静寂に包まれた。台座の上にある宝箱は、まるで何事もなかったかのようにそこに佇んでいる。
「行こう。中に何か答えがあるはずだ。」
幹太が宝箱に近づき、ゆっくりと蓋を開ける。
中に入っていたのは、一つの鍵だった。それは不思議な光を放ち、どこか温かみを感じさせる。
「これが……秘宝？」
琴乃が首をかしげる。
「いや、これはまだ何かの入り口だろうな。」
幹太は鍵を手に取り、深い霧の奥に視線を向けた。その先にはさらに新しい道が続いているように見えた。
「次に進むしかないか。」
幹太が前を向くと、琴乃も小さく頷いた。二人の試練は、まだ始まったばかりだった。