霧の中の迷宮を抜け、幹太と琴乃は次の試練へと進んでいた。目の前には広大な平原が広がっており、霧が切れた空には黒ずんだ雲が低く垂れ込めている。風が吹き抜け、地面を覆う草が波打つように揺れていた。
「ここが次の試練の場所……だよね?」
琴乃が不安そうに辺りを見回す。
「間違いないと思う。門神が言ってた『選ばれた者だけが進める』ってのも、今のところ俺たちしかいないし。」
幹太は肩にかけたバッグを少し持ち上げながら言った。
二人は慎重に歩を進める。足元の草はやけに柔らかく、歩くたびに沈む感覚がする。どこか不自然な雰囲気に、二人とも言葉少なになっていた。