御殿は女中たちの噂話で持ちきりであった。

子らの死はやはり悪霊の仕業であった。悪霊は寧々子様に憑き、子の姿に化けて惑わせていた。気づいた尼音は寧々子様を追い、身を挺して悪霊を払ったのだと。

奥方らは咽び泣いて尼音の死を嘆いた。寧々子は尼音の死と己の責任を口実にして御殿を去った。

だが、鳥籠から飛び立つ寧々子の顔は曇りひとつなく、まるで空を舞う気高き野鳥のように見えた。

竜規は寧々子を見送った後、奥方らを集めて栄華の狼煙を上げた。

「さあ、白垣は呪いから解き放たれた。恐れることはない、今一度、わが子をその胸に抱きかかえてみようではないか」

以来、白垣の血は絶えることなく、その地は豊かに栄え続けたという。

おわり